2012/12/29

灰色の目

この世はこんなにも鮮やかだったと気が付いたのは中央線だった。

人を好きになってそれまで灰色していた世界に色がついてしまった。
それはきけんな色だった。

私はうれしくもあり、未知なるしあわせに戸惑いを感じたものだった。
しあわせになっていいのかどうかと。
中央線に座れずに窓越しに立ち、走り去る街並みを眺めてさ、
この世が灰色のままならよかったかとか考えて、
よろこびもない代わりに心がねじれるようなこともない方がよかったって考えて。

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