2011/05/29

「空気人形」


「空気人形」を観た。
ダッチワイフの人形が心を持ってしまう。
物語はファンタジーの感じでずっと進み、若干の気持ちわるさもずっとそのまま。
韓国人のペ・ドゥナという女優さんがほんとうにゴムの人形のよう。
性欲処理道具という明確な役割を持って生まれてきた人形というもの。
なんの理由があって生きているのかぼんやりした人間の空虚な感じ、悲しみ、心が空っぽな感じを対比させている。
人形が勤めるレンタルビデオ店で、腕に穴が開いて空気が抜けてしまって、おなかの栓から息を吹き込んでもらうシーンがあって、
このシーンのために撮ったみたいな感じだそうですが、確かに目が釘付けになってしまいましたが、
途中からちょっと退屈になり、ラストがどうも意味が分からなく、
ハッピーな感じがあまりないので観終わった後、ベッドでチョコレートとクッキーを食べた。

是枝裕和監督は、「誰も知らない」というこれまた残酷で切なく暗い映画を撮った。
少年だった柳楽優弥がカンヌで賞を取ったやつ。
(母親が子ども4人アパートに残して出て行ってしまう。実際の事件が題材で、この映画は好きだった)
「空気人形」について柳楽くんがこう書いていた。
"人は生まれながらに孤独だが、同時に、誰かと満たし合わなければ生きていけない。"
自分で自分を満たそうとする人は多い。
私も、つい最近まで自分を満たすのは自分だけだと思っていたよ。

2011/05/28

「パレード」


藤原竜也、香里奈、貫地谷しほり、小出恵介 監督:行定勲 原作:吉田修一

だいぶ前に原作を読んで、2回くらい読んだかとても好きだったので映画も観てみたかった。やっぱりおもしろかった。
サトル役の男の子が雰囲気出ている。いたいたしい感じとか。
貫地谷さんがやっぱりうまいと思う。にしても尻がでかい。
原作の小説がもっと明るい感じで会話のテンポも速い。
映画だとこわい、暗い、感じ。

レイプシーンの録画ビデオ辺りから、空気がずーんとしてくる。
最後のシーンは雨降りすぎだろって言う。
おもしろかった。

2011/05/01

「ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~」


もうそろそろ返さなきゃいけないので慌てて「ヴィヨンの妻」を観た。
とってもよかった。
室井滋が出ていると知らなかった。
松たか子がかわいくて、けなげで、一途に無償の愛で生きている人。
「おかみさんが坊ちゃんに食べさせなさいって桜桃をくれたんだ。なのにこの父親は自分で食ってる」
浅野忠信(才能はあるが酒を飲んでばかりいる死にたがりの作家)はほんと情けない。
どちらかと言うと私はこの人に感情移入する。
「夫に他の女と心中された妻は一体どうしたらいいのでしょう。ただおろろとうろたえるだけなのでしょうか」
殺人未遂(自殺幇助)で留置所に入れられた夫に、訴えかける。
彼は子どものような人で自分のことで精一杯で、人の愛に気が付かない。
そんなだめ男に惹かれそれでも幸せだと自分で納得しているから成り立つ。
だめ男と付き合うにはこの人のように強くなきゃいけない。無理だなこりゃ。
「ただ愛せ」と人から言われて、その言葉の意味が分からない。
自分のしたいようになんかできなく、わがままに見返りを期待してしまう。

生きていようと思えた。