2013/10/22

「シレンとラギ」

招待券をいただいたので観に行った。
シレンとラギは舞台を映像化したゲキ×シネの一本。
舞台から映画を作ったという前情報しか知らずに観たら、とてもおもしろかった。

これは舞台以上だと。
音響がすごい。カメラワークがすごい。役者さんがすごい。
この臨場感は舞台以上のものではないかと。
役者さんの表情や汗やアイメイクや爪の先、髪の毛一本まで迫って観ることができるため、広い舞台を遠い客席から眺めるよりもうんといいのではないかと思った。
細かい演技をしている役者さんの動きも見逃さないし、客席から観られている役者さんの表情はなんとも恍惚としてアドレナリンがたぎるのが伝わるのだ。

高橋克実はかつらなしでいつものあの頭なのにもみあげだけはごっそりと生えていて、それだけで南の王の不気味な偉大さが伝わってくる。
古田新太はコメディはよくみるがこの映画の中ではギャグ要素はほとんどなかった。強く恐ろしく頭がキレ頑固なおやぢだった。
永作博美。きれいだった。あんなに小さくて白くて華奢なのに男の中で刀を振っても少しも小さな女性に見えなかった。
藤原竜也はブレなかった。いろんな映画の中でいつも殺し合いをし、怒り喚き、裏切られて失望し、衝撃の事実を告げられ仰天する藤原竜也は健在だった、舞台でもちっともブレない。
永作博美の上にまたがるシーンも尻を浮かせてのらないようにしている。そんなところまで見えて、優しい人なんだと思ったよ。

チャンバラシーンでの刀のシュッシュッとこすれる音は音響で後から足しているものなのだろうか。
とにかく音とカメラマンがすばらしかった。
セットを組んでシーンを演じ暗転したらまた次のセットを…という舞台の限られた空間の中であんなに躍動感のある見せ方をできるもんなんだな。
一人でも仕事が完成する自分からすると、いろんな人が関わってひとつのものを作り上げるってすごい大変なことだし人を感動させる仕事に一直線なんだなぁってことに映画のストーリー以上に感動した。