2013/02/14

けんちゃん

叔母―母の妹はずいぶん昔に離婚した。
叔母の子ども(私のいとこですが)女の子が27歳、男の子が24歳と二人いる。
離婚してから二十数年一度もお父さんに会っていないみたいだ。
顔も知らないお父さんに会いに行くというシーンのある映画を観た。ふと思ったのがいとこ達は一度でもお父さんに会いたいと思わないのだろうか、だった。

私たちの親類の中でお父さんであるけんちゃんはその映画のお父さんと同じく「ひどい人」という位置づけになっている。
けんちゃんの話題が出てくるのはおもしろおかしく話される場合のみでタブー視されてる。
私が小学校2年生くらいだったから、いとこたちはもっと小さかった。
昔のアルバムを開いてみると笑顔の叔母、けんちゃん、遊んでもらっている私の写真がよく出てくる。
なんだかたぶんいちばん遊んでもらっていたのは私だった。
叔母たち家族はひととき埼玉で暮らしていた。いとこたちは今二人とも東京にいる。
もし彼がまだ埼玉かこの辺りにいるならば近い距離、会いたいと思わないのだろうか。
叔母たち家族は最初からけんちゃんなどいなかったかのようにずっと暮らしてきた。
生まれてすぐいなくなったお父さん。いまさらいらないのだろうか。
私が言うことでないが会ってみてもいい気がする。
訳があっても、成長を見ることのできなかった子どもたちのことを彼が思い出さないはずはない。
生きているのか死んでいるのか。ひとりなのか。再婚しているのか。もし子どもがいるならなおさらいとこ達にとって兄弟がいるかもしれない。
知りたいと思わないのか。知りたくないのか。

いとこ達にはこのことをうんと酔っぱらって話も尽きて柄にもなくまじめになった振りをしてくらいにしか口に出せそうにない。私が言うことでないが気にしてる。

0 件のコメント:

コメントを投稿