ペドロ・アルモドバルの映画。
なかなかおもしろかった。母と娘の愛着、うまくとれない精神的距離感の物語だった。
一体なんの話をしているのか分からない人はいると思う。
一方で、これは、私の物語だ!と感じる人もいると思う。
ペドロ・アルモドバルにはいつも期待している。この映画はとても完成されている気がした。
いつも、スペイン語のやかましさ(特に口論のシーン)に字幕を読みとるスピードが追いつかず、話がつかめないこともあったけれど、この映画は静かだった。 相変わらずインテリアと服の色が美しく、赤と青のコントラストが画面に広がり、絵画のよう。
特に漁師のショアンのリビングの壁は、白地にブルーの貝殻をあしらって、窓から見える海と空が溶けあって海の中のようだ。
この映画、ひとりの人を現在、過去、二人の人間が演じている。外人の顔の区別がつかない人は見るべきじゃない。よく似た人が同じ人をやっているな、と思えるし、女優はやっぱり化ける!
古典教師で、若い頃奔放で美人だったジュリエッタも、年を取り、鬱になったり、激しいきもちになったりして、元は美人だけど顔が老け込む。
別人のようになっても(若い頃と別人が演じているのだけれど)若かったジュリエッタが年とってこうなったのだとすんなり入っていけるところがすばらしい。すんなり入っていけて、飲み込めないと、物語は、うまく咀嚼できなくなる。
アルモドバルの映画にいつも出ている、ロッシデパルマも、細くなり年をとり小さくなっていた。少し普通の顔になっていた。それでもなんか引っかかる存在感があるね。
スペインに行ってみたいな。