2019/05/22

30 窃盗を犯した外国人、釈放後のその後

執行猶予付きの有罪判決を受けて釈放された彼がその後どうなったか、お知らせしなくてはいけません。
その後1月ほど日本に滞在。モスクワ経由で本国に帰国する航空券を買いました。

出国する際、入国管理局(出入国在留管理庁)に止められ、
有罪判決を受けた外国人は「退去強制事由に該当」とのことで「退去強制手続き」が始まりました。


その日、入管から私へ電話、知らない番号だったので出ませんでした。
彼が通院していた病院からの電話で事態を知りました。
私が入管へ電話したときには、彼の持っているお金(日本円少しとユーロ)で支払い可能な航空券を見つけることができ、自費出国となりました、との話でした。

彼から連絡なく、いつ、どこを経由し、本国のどの空港に降り立ったか分からず、再び入管へ電話すると

  • 退去強制手続きが済んでその日のうちに出国はないと思う
  • 収容されているなら面会はできる
  • 自費出国の手配ができているなら明日面会に来てもそこにはいない
  • いない=他のところに行ったのではない=出国
  • どこのだれがいるか等電話では答えにくい
  • テレカを買えば連絡ができる

でした。
翌日、おろおろしながら待っていたら16時頃彼から「今ソウルに着いた」と連絡がありました。
仁川空港でフリーシャワーを浴びて救われ、所持金もほぼなし、乗り継ぎ時間が20時間くらいあって空港泊。翌12時の便で帰国の途に着きました。
パスポートのコピーのみ持ち、本国の空港でパスポートを返されました。
彼、本国の空港でまたチェックされるのでは、入国拒否されるのでは、と怖がっていました。
それで空港からの列車も予約しないでいました。

日本時間夜中3時、今レストランでごはん食べてる、と連絡があり、今の僕には1ドルさえ大金、と言って、あと1時間待つと列車が安いので待ってると。
判決が出るまで約2ヶ月間勾留され、晴れて執行猶予がついて釈放されても、出国時退去強制、収容所に1日収容、空港で野宿、すっからかんになって帰国。

入管法や解説サイト、本を読み知りえた情報は(間違ってるかもです)
  • 有罪判決を受けた外国人(執行猶予もです)は「退去強制事由」に該当
  • 「刑罰法令違反者」は無期限の「上陸拒否事由」に該当
  • 「上陸拒否事由」に該当しても、「上陸拒否の特例」があり特別な事情を認めてもらえて在留資格認定証明書を交付された外国人であれば、上陸拒否しない

彼は刑罰とともに、非常に重い行政処分をかせられることになりました。
窃盗といういちばん身近な犯罪でも、起訴されると、その後在留資格を得ることが難しくなり、その後二度と日本に入国できなくもなります。

日本人と同じように刑事事件の被告人として裁かれると同時に、外国人として「退去強制」という自分の力ではもう変えることができない強い権限で行政処分されるので、犯罪を犯さないことはもちろん、犯しても罪を認め、起訴されないようにするしかないです。

不起訴になれば、前科もつかないです。
起訴されると、前科がつき、執行猶予でも、退去強制です。

私が残念でおどろいていることは、彼の窃盗事件に関わった誰も、刑事、警察官、検察官、大使館、入管、弁護人、裁判長、誰も、そのことを教えてくれなかったことです。

お読みいただきありがとうございました。

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