2015/07/11

誰がなにじんか


あすの朝Hat Yaiを発とうかと思った夜、シャワーを浴びに階下に降りると、網状のシャッターからこちらを見る人がいた。

「あなた宿の人?それともゲスト?」
とぎょろっとした眼の白人のおじさんが私に聞いた。
「私ゲストですけど」
彼は、私の身体くらいあるバックパックを背負ったタンクトップの白人女性を連れていた。
ゲストハウスの扉に錠がしてあり宿の主がいないものだから、彼女は入れないでいた。
おっさん「ボスに電話したところだ。いま向かってると」
私「何時に来る?」
おっさん「あと5分で行くって言うんだけどさ。タイでは5分は50分と同じ意味だからね」

私は鍵を開けた。
白人の彼女、こんな遅くに見知らぬ国の見知らぬ街にたどり着いてさぞや疲れているだろうにそんな素振りも見せずに、よかった入れて、本当ありがとうございますーとおっさんと会話している。
私「彼女、アメリカ人?おじさんも?」
おじさんはGreat Britainと声を渋くして言った。誇り高そうだった。
確かにアメリカ人のイギリス人の違いくらい口ぶりで分かるわな。
何も起こらない日々の突然の訪問者に私は少し慌てていた。
おじさん「きみはマレーシアか」
私「日本です」

クアラルンプールに降り立ったときから、日本人か、中国人か、台湾人か、韓国人か、と聞かれ続けてきた。
そのどれかではある。どれでもいい。マレーシアの多民族性を目にしたあと、国籍は意味をなさなくなっていた。
マレーシアのチャイニーズはマレー語を話さないし、空港で働いているインド人をマレー人だと思って覚えたとのマレー語で話しかけても英語でわからないと言われるのだ。
おじさん「彼女はヌーピーさ。きみもヌーピーだ」
私「ヌーピー?」
おじさん「New Peopleのこと。よく分かんないけどタイ人がよく言ってるんだよ」
おじさんは流れ着きタイが気に入って居ついているのだろう。
彼女よろしく頼むぞと言って消えて行った。ボスは本当に5分後に来た。

国境を越えたと感じるのは、肌の露出している人が増えたこと。
一部ムスリマはいるが、肌と髪の黒いおにいさんたちはいない。
男性の目にさらさないように肌を見せない女性たちの住む国から、男性の目を極端に意識している国に来たのだと感じる。

日本人のカレシを待つマッサージのおばちゃんも、美男美女が抱き合うPVばかりでむなくそ悪いタイポップスの中の女たちも、男に媚びるなと言いたい。
男なしで生きていけないと全身で表現しているみたい。タイの女は男がいなくても十分に生きていけるのに。

いま現在一応渡航の延期要検討の勧告が出ているHat Yaiを去り、Suratthaniを通過していまKoh Samui サムイ島にいる。

咳が止まらない。
私は暑いのがだめだし、エアコンの風もだめだから、南国は性に合わないのかもしれないけど、サムイはいいところだと感じる。
サムイにしか上陸しないでタイを去る外国人がいたとしたら、サムイはタイ本土とは全然違う。
看板の文字ひとつ読めない、英語の通じない疎外感を味合わずにタイを満喫しているのか。

Nathon Pier(フェリー港)からChaweng Beachまでのタクシーは600Bと思ってたが値上がりして700Bというさらなる高額になっていた。
ソンテウに乗ってどこか分からない場所で迷子になるか、
30分以上ノーヘルでバイクタクシーに乗っけてもらうか、どちらもいやだった。
あたしはタクシーで行く!

なんかぼーっとした感じの白人のおにいさん2人に声をかけた。
チャウエンに行きます?行くならタクシーをシェアしませんか?
有無を言わせぬ東洋人の申し出に、おにいさんたちはうんと言ってくれた。
片方のおにいさんはもう一人のおにいさんに着いて行っているだけに見えたが、タッパのある白人二人味方につけた私は一人200Bでタクシーに乗ることができた。
よかった!これだけが本当に心配だった。500Bの宿に泊まるのにタクシーだけで700Bとか絶対払いたくなかった。


おにいさんたちはスウェーデン人だった。宿の予約もせず、バンコクからサムイに来てブラブラしてみてから宿を決めるという。ワイルドだー。普通かな…。


写真はChaweng Beachで泳ごうとしていたみつばち。

0 件のコメント:

コメントを投稿