2012/09/30

「遺品整理屋は見た - 孤独死、自殺、殺人…あなたの隣の現実にある出来事」

行旅死亡人データベースというサイトがある。
身元不明で引き取り手のいない方の情報が日々あがってくる。中には死後発見されるまで何年も経過していて白骨化していたり、お名前はおろか、性別、年齢さえ分からない方々もいる。
人間はひとりでは生きられない。
決してひとりで生きてきたわけではないのになぜ亡くなってからも何年もひとりでいる人がいるのか?
驚くと同時にその現実が虚しい。
これ以上に哀しいことってない。
祈り、その見知らぬ方に想いを馳せるような気持ちでときどき行旅死亡人データベースを見てる。

何かの拍子に見つけた遺品整理の仕事をしている方のBlogを貪るように読んだ。
主に自宅で人知れず孤立死した方の遺品整理、お部屋の状態がよくない場合の清掃、消臭などをやっている会社キーパーズの代表吉田太一さんのBlogだった。
それを本にしたものを読んだ。

遺品整理屋は見た!
吉田 太一
4594052320

ショッキングな内容ながら、故人や遺族、関わった人すべてのこころに可能な限り寄り添おうとする吉田さんの思いが丁寧な文体から伝わってきた。
常軌を逸した死臭のこもる部屋での作業や、憔悴しきった遺族へなんと声をかけたらいいか、ときに腹立ち紛れに吉田さんに不平不満を言ったり、怒鳴り散らす人もいる。
そんな中でも常に人を想う気持ちを忘れないこの方をすばらしいと思った。

本の中で、これからますます増えるであろう独居老人の孤立死について何か対策がないか思慮していた。
近頃ではまだ働ける年齢や若年層でも孤立死する人が増えている。
もう個人的な問題ではなく社会全体の現実的な問題として、私にも誰にも迫ってきている。
私は非社交的でひきこもりがちだしあまり人に優しくないのを自覚しているから自分が孤立死するんじゃないかと思うことがよくある。妹からその事で泣かれたことがあるし…。

Blogには、孤立死しても家族、兄弟、友人、近隣の人、誰かにすぐに気がついてもらえるような人間関係を日頃から作っていきながら今を生きてほしい、とあった。

そうだと思う。偏屈で他人を寄せ付けぬ人格者にならないように生きていけたらいい。
他人を避け恐れながらも、求めているものはやさしさに溢れた「関心」だ。

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