2012/08/24

夜景

ここはあの人と行った店だとか、ここはあの人と通った道だとか、
街のそこかしこに欠片が散らばっている。
人混みを歩くときに孤独を感じるのは、その欠片が光って見えて、でももう二度と拾えないものだから。
また誰か別な人と同じ場所に行って、記憶の上書きを、したくないと思いながらも、あちこちに欠片ばかり散乱しているのもいやだ、と思う。 大切すぎて壊した欠片が夜になると誰の目にも分かるほどキラキラ瞬いて、また人々の瞳を照らす。
私の瞳も照らすようになる。
六本木ヒルズのスカイビュー53階。すごく高い。耳がぐわんって鳴る。
こんな高い場所で行動しているのって頭おかしいんじゃないかと思ったりする。
欠片が綺麗なのね。


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