2014/04/24

「夢売るふたり」

夢売るふたり
夢売るふたり [DVD]

展開の速さがすばらしく、開始2分で引き込まれた。
松たか子の表情と、婉曲なカメラワークと。

火事ですべてを失った夫婦。あんなに仲がよくて笑顔が絶えない。
もう一度夫婦で居酒屋を、と同じ夢に向かって、罪悪感のカケラもなく結婚詐欺を始める。
夢のために、夢を売り、体を、心を、切り売りして、へとへとになるまで働いて、それでも「足らん」。
気が付けば、夢に手が届かないばかりか二人バラバラになっちゃって。

男女の違いを描く。同じ夢に向かって共に生きていたはずなのにいつしかボタンを掛け違えたまま別方向に進んでいく、その破滅への過程がとてもナチュラルに表現されていた。
監督は西川美和。「ゆれる」の監督さんだった。
間接的な表現が多く、私こういうの好き。
別々になってく男女を描きながら、結婚したい女、できない女、劣等感のある女、そういう女性をも描いていた(彼女らは結婚詐欺される女たち)
経済的には自立していても、精神的には自立していない、さびしい女たち。
夫に結婚詐欺をさせながら、変わっていく妻さちこの気持ち。
松たか子の自慰は苦しそうでした。
R-15なのはたぶんそういうシーンだと思うのだけど、生理のシーンが出てきてあれはとても女性監督ならではの描写だと思った。
夫は結婚詐欺の女性たちとたくさんセックスをしてるのに、自分はセックスしない。子供もきっとほしいのだろう。
でも自分はセックスしないのに生理って毎月来るんだよね…。
それがむなしく、残酷で、女のサガ。

夫は結婚詐欺を働きながら他人の生活に入り込んで、楽しかったんじゃないの、って。
ウェイトリフティングの女性がいい味を出していた。

後半30分か1時間くらいか、最後に阿部サダヲ(夫)と松たか子(妻)が「ほんとは止めたいし止められるのを待ってる」ってシーンが絶妙だった。
それから以降一緒のシーンがひとつもないのだよね。絶妙。おもしろかった。

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