2019/05/02

3 ガサ入れ

外国籍の彼氏が窃盗容疑で逮捕され判決が出るまでを綴っています。

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逮捕当日。

私たちはホステルの男女共用のドミトリー部屋に泊まっていた。
ベッドが8台。シャワーとトイレが室内に2つずつあった。
その日同室の宿泊客は他にいなかった。

部屋のキーが施錠されるウィーンという音がして、彼の苗字を呼ぶ声が聴こえた。
何人もの足音がして飛び起き、ドミトリーのカーテンを少し開けて覗くと警察が彼のベッドを取り囲んでいた。
先日警察署で会った女性刑事が○○ですと言ったので、私はベッドの中から○○さん、と呼びかけた。
出てきてください、と言われたので、私は急いでめがねをかけフリースを羽織ってベッドから出た。彼も起きていた。
これはいわゆるガサ入れというやつだ。

部屋の中に刑事が3人くらいと通訳士、ホステルの支配人がいた。
刑事らは逮捕状を持っていて、彼のパスポートや洋服などを押収した。
防災グッズ保管庫から盗品と思しき誰かの私物が出てきた。
通訳士は警察関係者とは雰囲気の違う年配の女の人で、逮捕状を音読したと思う。そして一緒に行く準備をしてください、などと言ったはずだ。

これからすべての荷物を持って出て行く。
彼は何回もポケットに物を入れようとして、ポケットだめ、と日本語で言われていた。
通訳士は決まった文句しか訳さなかった。

先日車で一緒に来たがたいのいい刑事はまた咳をしていた。インフルエンザかもしれない。
彼は私と同郷らくなぜか、アパマンショップの爆発した近く?というどうでもいい世間話した。
「自殺しないですか」
「大丈夫」
最低限なら会話していいと言われたので、彼に、本当のことを話してよ、面会に行くよ、と言った。
「最初から本当のこと言ってる」

刑事らは彼がこれはゴミ、と言ったものまで持ち去った。
「あとで自分で分けさせるんで」
枕元についている照明をこれはホステルの備品か?と言って確認するほどだった。
なのに冷蔵庫の彼のハバネロソースは置いていった。

一番年長者っぽい刑事が、日本人じゃないから何するか分からない、と2回言った。
女性刑事は下を向いて、通訳の先生も緊張しているような顔をしていた。

女性刑事が「本人には1日時間を与えましたのでね」と言ったのでうなづいた。
彼は一度も私の方を見ずに出て行き、その後がたいのいい刑事が昨日HARIBOを取り出しただけでほとんど開いていない彼のバックパックとスーツハンガーに仕舞われているスーツなどをすべてかついでいった。

私はもう身元引受人じゃない。
外国人の場合逮捕後は入国管理局が身元引受人になるらしい。

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